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2017年10月5日

<速報>2018年に10年振りに改正される医療広告ガイドラインの改正案

昨日の10月4日に、厚労省で「第5回医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」が開催されました。

本会は、医療に関する広告規制の見直しを目的として、昨年から開催している有識者検討会です。第1回~4回までの内容をまとめ、先日医療法が改正となりましたが、第5回目からはその詳細を定めた医療広告ガイドラインの改正内容を話し合うということになっていました。

先日の医療法改正の通知を厚労省の公式サイトでなかなか更新されなかったことを指摘したせいか、今回は検討会翌日に会議資料をUPする対応となり、非常にスピーディーで頼もしい限りです。本会議の議事録もなるべく早く更新してほしいと願っています。

 

さて、肝心の改正内容案ですが、今回は仕切り直しの第一回目ということもあり、厚労省が意図する改正の方向性が明らかになりました。来年の医療法施行に向けて大きく前進したと言えます。

 

<これまでの改正経緯を追っていない方へ>
先日通知された医療法改正については、こちらをご参考ください。

 

本日のブログでは、速報として改正案についてざっくりご紹介したいと思います。
個々の内容については、また後日一つずつ紹介していきたいと思っています。

今回提示された改正案は大まかに分けて、次の通りです。

■広告3要件の廃止と対象範囲の拡大

■医療広告ガイドライン(広告GL)と医療機関ホームページガイドライン(HPGL)の統合

■客観的事実が証明できない情報の扱い

■他法令に違反している事項の扱い

■比較広告・優良誤認の考え方

■体験談とビフォーアフターへの対応

■広告可能事項の限定解除条件

 

医療広告に詳しいものであれば、行方が気になる題材ばかりで、私はついに来たか!と武者震いが止まりませんでした。(大げさ)
しかし、今までグレーな点が多かった上記の事項について、明確に法規制化することが確定すると、大げさでなく集患戦略、いや医療機関の経営戦略に大激震が走ります。最終的な結論が出るのはまだ先になりますが、10年前の医療広告ガイドラインが策定された時の比ではなく、影響力が大きい大改革になるのではないかと予想しています。

なお、しつこく言いますが、今回の改正案はまだ「案」の段階であり、今後こうなると確定したわけではありません。確定するのは、検討会が終了し、ガイドライン案が公表された後、パブリックコメントを集める一定期間を経て施行になったときです。改正に備えて今から準備をしておくに越したことはありませんが、まだ変更の可能性がある旨をご承知ください。

 

さて、ではざっくりですが、ここの変更点について簡単に解説していきます。

■広告3要件の廃止
これまでの広告と判断される3要件であった「誘引性」「特定性」「認知性」のうち、「認知性」を要件から外す。これに伴い、これまで「認知性を有さない」故に広告に当たらないとされていた、ウェブサイト、メルマガ、資料請求によるパンフレット等も改正後は広告に該当することになる。さらに企業また個人が運営する医療機関のランキングサイト、口コミサイト、医療情報の提供サイト・ブログも同様に医療広告規制の対象となる可能性あり

■医療広告ガイドライン(広告GL)と医療機関ホームページガイドライン(HPGL)の統合
広告GLとHPGLを統合した上で、新ガイドラインを策定する。(恐らく、これまでの広告GLとHPGLは廃止)
広告GLとHPGLで齟齬があった部分をどちらかに明確化することで、グレーの部分を排除する。

■客観的事実が証明できない情報の扱い
広告GLでこれまで禁止されていた治療効果の記載は、客観的事実が証明できるものに限って、広告可能。しかし、客観的事実が証明できず、患者さんの受診を不当に煽るものに関しては、虚偽・誇大広告として厳しく取り締まる。

■他法令に違反している事項の扱い
所管省庁との調整が難しいため、新ガイドラインでは広告禁止事項としない。(他法令が適用になる)

■比較広告・優良誤認の考え方
「日本一」「No,1」「最高」等の最上級の表現は引き続き禁止だが、最上級以外の表現については、裏付けとなる根拠を求められた場合に提示できるのであれば、使用可能とする。

■体験談とビフォーアフターへの対応
全面禁止の方向。新たに省令で禁止を規定する。

■広告可能事項の限定解除条件

医療法に定められている広告可能とされている事項の限定が解除される条件を新たに定める。

限定解除3条件(と勝手に命名)
①患者さんが自ら求めて入手する情報(旧3要件の「認知性」を有さない)である
②問い合わせ先等を明記する
③自由診療の場合、
 ・通常必要とされる(例えば保険診療の)治療内容、費用等の情報
 ・治療のリスク、副作用情報
 を記載する

 

というところです。

どの項目も今後の医療業界にとって大きな影響を及ぼすことなるだろうと予想されますが、これまでキーワード広告等を行うために、医療広告規制に対応したホームページ作りをしてきた医療機関にとっては、どちらかといえば規制緩和されるという印象を持つかもしれません。
当然、弊社もこれまで医療広告規制を遵守したホームページ制作を行って参りましたので、表現の範囲が拡がったという感じております。その一方で、認知性の概念が排除されたことや、医療機関それぞれでエビデンスを確保する必要性が増したことなどは、今後医院の集患戦略を策定する上で、非常に大きなターニングポイントになるかもしれないと予感します。

今のうちから準備したいという医療機関様・ホームページ制作会社様。
是非お問い合わせをお待ちしています。
https://tashikani.jp/contact/form.php

 

情報元
厚生労働省 第5回医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000179715.html
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