TOP

2012年10月8日

厚労省が「医療機関ホームページガイドライン」を新たに公表(3)

少し間が空いてしまいましたが、第3回「医療機関のホームページの内容の適切なあり方に関する指針(医療機関ホームページガイドライン)」についてです。今回からいよいよホームページに記載すべきではない事項について、順番にご紹介していきます。

前回も言及しましたが、ホームページに記載すべきではない事項は原則、医療広告ガイドラインの「禁止される」事項で示す内容に準じています。
しかし、その規制内容に条件が付与されていたり、範囲が限定されていたり、新しく追加になっていたりと似て非なる部分が見られますので、
そういった医療機関ホームページガイドライン特有の記載事項を重点的にご説明していきます。

また、本ガイドラインにおいて「掲載すべきではない」という表現が使われていますが、これはそのまま「掲載してはならない」と読み替えて差し支えありません。厚生労働省は、不適切な掲載を続ける医療機関には、自治体を通じて指導するとのことです。

ホームページに記載すべきではない事項
(1)内容が虚偽にわたる、又は客観的事実であることを証明することができないもの
ホームページに掲載された内容が虚偽にわたる場合、患者さんを不当に誘引し、適切な受診機会を喪失させたり、不適切な医療を受けさせたりするおそれがあるため、ホームページに掲載すべきではない。なお、虚偽にわたる内容の掲載については、医療法以外にも薬事法や健康増進法等でも規制されています。

記載すべきではない例1
加工・修正した術前術後の写真等の掲載
あたかも効果があるかのように見せるため加工・修正した、術前術後の写真等は虚偽にわたるものに該当する。
一方、医療広告規制では「手術前後の写真はもちろん、手術前のみ又は手術後のみの写真についても、治療効果に関わる表現であるため広告できない(医療広告ガイドラインQ&A)」としており、さらにイラスト等の表現も禁止しています。

さらに、後述する(3)内容が誇大なものにおいても、術前術後の写真掲載の是非が述べられています。
撮影条件や被写体の状態を変えるなどしてして撮影した術前術後の写真等を掲載し、その効果性・有効性を強調することは、患者さんを誤認させ、不当に誘引するおそれがあることから、内容が誇大なものとして取り扱う。

つまり、同一条件下で明確に比較できるものでなければ掲載すべきではないとの考え方で、事実上掲載することは困難であることを示しています。
個人的にも、ある特定症例の一例をさも効果を保障するものとして提示するビフォーアフターの写真は、例え本当に手を加えていなかったとしても客観的事実であることを証明することが非常に困難であるため、掲載すべきではないと考えています。
そして医療広告規制のビフォーアフターへの徹底した姿勢を考えると、完全にNGになるのも時間の問題ではないかと思われます。

記載すべきではない例2
「絶対安全な手術」「必ず成功します」
絶対安全な手術を行うことは医学的に困難であるため、虚偽にわたるものに該当する。

記載すべきではない例3
「一日で全ての治療が終了します」(治療後の定期的な処置等が必要な場合)
治療後の定期的な処置が必要であるにもかかわらず、全ての治療が一日で終了するといった内容に受け取られかねない表現は、虚偽にわたるものに該当する。
本例示は医療広告規制には無い項目であり、注意が必要です。実際の医療現場では何が起こるかわからないので、原則このような表現は控えた方が無難でしょう。

記載すべきではない例4
「○%の満足度」(根拠・調査方法の提示がないもの)
データの根拠(具体的な調査の方法等)を明確にせず、結果のみを示したものは虚偽にわたるものとして見なす。また、非常に限られた患者さんを対象に実施された調査や謝金を支払うことによって意図的に誘導された調査の結果は、公正なデータといえないので虚偽にわたるものに該当する。

本項は医療広告規制においても言及されています。医療広告では満足度調査を行っている旨は広告可能ですが、その結果についてはデータの根拠の有無にかかわらず広告不可とされています。
よって、本項は医療広告ガイドラインと異なる注目すべき点の一つであり、データの根拠が明確に記載してあるのであれば、引き続き掲載することが可能です。(念のため、元となったデータの原本も保存しておくことをお勧めします。)

記載すべきではない例5
「当院は、○○研究所を併設しています」(研究の実態がないもの)
医療法人の定款に研究所の設置を行う旨の定めが記載してあるのもかかわらず、研究している実態がない場合にも虚偽にわたるものとして見なす。

なお、「客観的事実であることを証明できないもの」についてはなかなか判断が難しいところがあり、ガイドラインの中でも明確に定義されているわけではありません。しかしながら、例1や3を記載する上では、この「客観的事実であることを証明できないもの」にあたらない根拠となるデータを用意できるかどうかがポイントとなるかと思います。

(2)他との比較等により自らの優良性を示そうとするもの
「日本一」「No.1」「最高」等の表現で、施設の規模、人員配置、提供する医療の内容等について、自らの医療機関が他の医療機関よりも優良である旨を示すことは、仮に事実であったとしても、患者さんを誤認させ、不当に誘引するおそれがあるため掲載すべきではない。また、著名人との関連性を強調することも本項目に該当するとして掲載すべきではない。

掲載すべきではない例1
「○○治療では日本有数の実績を誇る」「県内一の医師数」
仮に事実であっても、他院との比較は掲載すべきではない。

掲載すべきではない例2
「芸能プロダクションと提携しています」「著名人○○も△△医師を推薦しています」
芸能人等が受診している旨等の表現は、仮に事実であったとしても、他院との比較にあたるため掲載すべきではない。
本例示は特に美容整形等のホームページに良くみられる事例です。
もちろん医療広告でも規制されていますが、キーワード広告では未だにたまに見かける違反事項です。
来院している旨が明言されていなくとも、来院しているように思われるような掲載の仕方をすることもNGとなります。

長くなってしまいましたので、続きはまた次回にします。

  1. 厚労省が「医療機関ホームページガイドライン」を新たに公表(1)
  2. 厚労省が「医療機関ホームページガイドライン」を新たに公表(2)
  3. 厚労省が「医療機関ホームページガイドライン」を新たに公表(3)
  4. 厚労省が「医療機関ホームページガイドライン」を新たに公表(4)
  5. 厚労省が「医療機関ホームページガイドライン」を新たに公表(5)
このページを共有する