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2018年11月13日

〈最新研究〉専門医にしか知られていない「我が子をアレルギーにさせない方法」

我が国の全人口の約2人に1人が何らかのアレルギーに悩まされており、その数は日々増大している(出典:平成23年度リウマチ・アレルギー対策委員会報告書)と報告されているが、そのアレルギーに根本的にかからないようにできるかもしれない方法が存在したということをご存じだろうか?

その画期的な世紀の発見は、どこかの国でそういう民間療法があるという怪しい話ではなく、既に数年前からアレルギー学会等のアカデミックな業界ではバズっている話で、阪大名誉教授でアレルギーの専門医である荻野敏先生によると、今学会で一番発表本数が多く、盛り上がっている話題であるとのこと。最近では、アレルギーの専門医となる耳鼻科や皮膚科の医師だけでなく、小児科の医師も大変注目しているとのことで、そんなホットな話題がなぜ一般向けメディアに取り上げられないのか不思議でしょうがない。

荻野先生と打ち合わせ

そもそもアレルギーってなんだ?

前置きはいいから、早くその方法を教えろ!という言葉が聞こえてくるようだが、アレルギーを根本的に防ぐ方法は、そもそもアレルギーがどうやって起こるかを多少なりとも理解しないことには、なるほど~という納得感が無く、話が面白くない。意図を理解しないと続けることができないという人種は、私以外にもきっといるはずだ。

とはいえ、専門的な話をダラダラ書くつもりもないので、安心して欲しい。まとめて要点だけざっくり書くので、細かいことを知りたければ、皮膚科医に聞くなり、本で調べるなりしてほしい。私もざっくり知りたかったので、簡単なアレルギーの本を1冊読んだ。素人にもとてもわかりやすくて、お勧めである。

斎藤 博久著「Q&Aでよくわかるアレルギーの仕組み
P.61, 2015年12月20日初版, 株式会社技術評論社発行

さて、本題に入ろう。

アレルギーとは、埃や花粉などが体内に入ってきたとき、これを敵とみなし、排除しようとする免疫反応の一種である。一度や二度ならその都度の対応でしのげるが、何回も繰り返し侵入されると、また来たぞ!と少しの量でも過剰反応してしまい、くしゃみや鼻水、かゆみや湿疹などの症状が身体に現れる。すこぶるQOLを損なうアレルギー体質になってしまうわけだ。

アレルギーが厄介なところは、一度この免疫反応が起こってしまうと、原則一生元に戻ることはないということだ。なんらかのアレルギーに悩みを持つ患者が増え続ける理由はここにある。増えることはあっても減ることはないからである。
※減感作療法などアレルギーに慣れさせて、症状を軽減させる方法はあるが完璧にない状態にするのは難しいと言われている。

ここで、子供の時にアレルギーに悩まされた経験がある方は、「いやいや、そんなことはない!だって俺昔アトピー酷かったけど、いつの間にか治ったし」という異論を挟みたくなるだろう。そんな方にお尋ねしたい。確かにアトピーは治ったかもしれないが、今は花粉症だったりしないだろうか?

ん?アトピーの話してたんだろ?花粉症は関係ないだろうが・・・。え?関係あるの??

アレルギーマーチという恐ろしい行進曲

昔アレルギーだったけど、今は治った。もとい、「うちの子は昔アトピーが酷かったんだけど、いつの間にか治ってて、でも卵アレルギーになって、今も若干卵は気をつけているんだけど、どっちかというと最近は喘息で夜眠れないのが心配で。」という親御さんはいないだろうか?

これが「アレルギーマーチ」である。一見マーチとかいうワクワクするネーミングでありながら、どっこいとても恐ろしいアレルギーの連鎖反応を示す言葉だ。実はアレルギーには、しばしば「寛解(かんかい)」と呼ばれる、身体が症状を克服する場合が見られる。しかし、寛解した後もアレルギー反応が元に戻ることはないため、別のアレルギー症状が現れる。こうして一度アレルギーになってしまうと、一生アレルギーと付き合っていかなければならなくなるわけだ。

アレルギーマーチのイメージ図
アレルギーマーチ

「美と健康に響く大地のチカラ」から引用

かくいう私も子供の時、酷いアトピーとアレルギー性鼻炎に悩まされており、軽いアナフィラキシーショックで寝込んだこともあるが、今では季節の変わり目にたまに痒くなることがあるぐらいで、普段は全く症状がでない。ちなみに花粉症もないが、アレルギーマーチ的にはいつか花粉症が来るかもしれないと内心ビビっている。

一度アレルギーになってしまうと・・・。であれば、アレルギーマーチが始まる一歩目を防ぐことができれば、行進曲は始まらず、アレルギーの連鎖にハマることはなくなるのではないか?というのが、今回の主題であるアレルギー攻略法の鍵となる仮説である。

アレルギー攻略法「アレルギーマーチの一歩目を阻止する」

アレルギーマーチの一歩目は主に、アトピー性皮膚炎から始まると言われている。産まれてすぐにアトピーにならないように気を付ければいいわけだ。じゃあどうやってアトピーを防げばいいのか?

ここで出てくるのが、世紀の大発見と噂される驚きの事実である。

アレルギーを起こす、花粉や埃、ダニの死骸や食品の粉末が体内に入ってくるルートは、一般的に口や鼻、そして目からというイメージが強いのではないか?だから皆、厳重にマスクをし、中にはゴーグルまで着けて必死にアレルギー物質の侵入を防ごうとする。

しかし、最近分かってきたのは、どうやら口や鼻と同じくらい、下手するとそれ以上の侵入ルートがあったということ。その入口は口や鼻のように一か所ではなく、身体全体に広がっている。

そう。肌だ!

我々人間にとって皮膚はシートのように繋がっているもので、一見穴なんてないと思いがちだが、微小なアレルギー物質にとっては、懐ががら空きですぜ!的なもんだ。特にカサカサでバリアー機能が弱まっている肌なんてのはイチコロだ。入り放題だ。

さらに、赤ちゃんのモチモチ肌が羨ましい!と憧れる方は多いだろうが、実は産まれたばかりの新生児の肌は一生の中で一番弱くダメージを受けやすい時期にある。一見潤いがあり、保湿とは無縁のように感じられるが、新生児の肌はアレルギーにとって格好の餌食である。

故に、一生で肌が最もデリケートな産まれてから半年間、ベビーオイルを赤ちゃんの全身に塗りたくってあげることで、アレルギーマーチの一歩目を阻止し、その子をアレルギー体質から一生守ることができるというわけだ!

最近の研究報告を用いて、もう少し厳密に補足すると、

アトピー性皮膚炎を家族に持つ新生児118名を対象に行った国内の臨床試験において、1日1回全身に保湿剤を塗った新生児59人と、乾燥した箇所にのみ保湿剤を塗った新生児59人を32週にわたって比較したところ、全身に塗った新生児でアトピー発症者が19人であったのに対し、部分的に塗った新生児では28人がアトピーに発症した。この結果から、新生児に対して予防として保湿剤を全身に塗ることで、アトピー性皮膚炎の発症リスクが3割以上も低下することが分かった。

Horimukai K, Morita K, Narita M, et al : Application of moisturizer to neonates prevents development of atopic dermatitis, J Allergy Clin Immunol, 134 : 824-830, 2014

アレルギー体質は、両親がアレルギーをもっていると、その素養が引き継がれるということがわかっているのだが、アレルギー素因を持つ新生児を対象にした上記の研究ですら、アレルギーの発症リスクが30%以上低下したわけなのだから、この産まれてから半年間、保湿剤を塗るという方法は、我が子をアレルギーにさせない手段としてかなり効果が高いと評価することができるだろう。

わかった。塗る。何を塗ればいい?

では、具体的にどんな保湿剤を塗れば最も効果的なのか?ということに関しては、まだ研究段階であり、明らかになっていないというのが正直なところである。しかし、大人になるにつれ肌の質が変わるという報告がないことから、何を塗るかということに関しては、刺激の弱い安全なものという条件を満たせば、大人と同じもので差し支えないだろう。

そう考えると、これはあくまで個人的な意見だが、肌の構成成分であり、皮膚バリアーの機能ももつセラミドを含む保湿剤が第一選択肢として挙げられる。その安全性から最近では塗るだけでなく、飲むサプリメントとして各社で販売されている。

もちろん大人でも肌からアレルギー物質は侵入する。特に毎日洗剤で洗いものをしている方や、化学薬品を扱う職業の方は、手の皮膚バリアーが弱まっている可能性がある。もしアレルギー症状に悩まされているのであれば、保湿剤で肌を守ろう。

まとめ

我が子をアレルギーにさせないためには、生後6ヶ月間毎日、全身にまんべんなく保湿剤を塗ってあげること。

保湿剤を塗ることで、空気中に漂うアレルギー物質の侵入を防ぐ確率が高まり、アレルギーマーチの一歩目が阻止できれば、その子を一生アレルギーから守ることができる。

産まれてから半年、毎日肌のケアをすることは、両親にとって負担が大きいかもしれないが、その子にアレルギーに悩まされる一生を歩ませないためにも、是非頑張って続けてください。

編集後記

最近読んだホリエモンの「健康の結論」に感化され、「業界では半ば常識になっているのに、一般的にはあまり知られていない大事な情報」というのが確かにあるなと思い、今私が最も皆様に知ってほしい題材をいつもと違うテイストで書いてみました。

日本で2人に1人が悩んでいるアレルギーを、たった半年両親が頑張るだけで防げるという事実は、それこそホリエモンのような影響力がある方に取り上げて頂き、世間に周知すべき話だと思います。

著者プロフィール

たしかにプラス株式会社 代表 / 集患戦略家 / 医食同源ジェネラリスト

深谷 泰亮

「医療×食品を軸に、未来の健康を支える場を創造する」をモットーに、医療機関の集患戦略の策定、医療広告ガイドラインの監修、機能性表示食品の開発支援、医学専門家監修の食品オウンドメディア制作等を行っている。

Twitter @tashikani_inc

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