医療広告を理解する
規制内で如何に患者のニーズに
応えるかが本当の満足に繋がる
持つべき責任と義務
客観的で正確な情報を届ける
医療広告とは
我が国における、医療に関する広告は、患者さんの利用者保護の観点から医療法やその他の規定で制限されています。
医療法(昭和23年法律第205号)における広告規制については、平成20年4月1日医政発第0401040号改正にて公布された「医業もしくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針(医療広告ガイドライン)について」によって定められており、ここでは広告を行う上で最低限知っておくべきと思われる基本的な事項についてご紹介致します。
2013.9.27 医療広告ガイドライン改正(1)~改正内容の解説~にて改正内容を解説しております。
基本的な考え方
医療は人の生命・身体に関わるサービスであり、広告の受け手はその文言から提供される実際のサービスの質について事前に判断することが非常に困難であること。
医療は極めて専門性の高いサービスであり、広告の受け手はその文言から提供される実際のサービスの質について事前に判断することが非常に困難であること。
平成25年9月27日医政発0927第4号改正現在「医療広告ガイドライン」より一部引用
上記で記されているように、従来、広告に対する基本的な方針は限定的に認められた事項以外は広告することを禁止する「ポジティブリスト」方式でした。平成18年に医療法が改正され、客観性・正確性が確保される事項については、広告事項としてできる限り幅広く認められることとなりましたが、上記の基本的な考え方を念頭においた上で広告の運用を行わなければなりません。
広告の定義
次の2つの要件を全て満たす場合に、広告に該当するものと判断されます。
特定性:
医療を提供する者の氏名や医院の名称が特定可能であること。
誘引性:
利益を求めて、患者の受診等を誘引する意図があること。
広告の媒体と規制対象者
広告の規制対象となる媒体の具体例
チラシ、パンフレットその他これらに類似するもの(ダイレクトメール、ファクシミリ等も含む)。
ポスター、看板(プラカード、建物、電車、自動車等への記載を含む)、ネオンサイン、アドバルーン、その他これに類似するもの。
新聞紙、雑誌その他の出版物、放送(有線電気通信設備による放送を含む)、映写、電光。
情報処理のための機器(Eメール、インターネット上のバナー広告、キーワード広告等)。
不特定多数の者への説明会、相談会、キャッチセールス等において使用するスライド、ビデオまたは口頭で行われる演述。
広告とは見なされないものの具体例
誘因性を有しないもの
学術論文、学術発表等
新聞や雑誌等での記事(医院が費用を負担して掲載依頼するタイアップ記事は除く)
体験談(「受付の方が優しかった。」「入院食が美味しかった」など治療効果に関わらない事項のみ)、手記
医療機関の職員募集に関する広告
情報提供、広報としての扱われるもの
インターネット上のホームページ(バナー広告、キーワード広告除く)ただし、バナー広告等とリンクする病院等のホームページについては広告として取り扱われる。
その他
院内掲示、院内で配布するパンフレット等
患者等からの申し出に応じて送付するパンフレットやEメール
規制対象者
医師や歯科医師、医療機関だけでなく、マスコミ、広告代理店、患者、一般人等何人も広告規制の対象となります。
つまり、広告規制に反した場合、弊社にも同様に責任が生じるということです。
禁止されている広告
内容が虚偽にわたる広告(虚偽広告)
例えば「絶対安全な手術」は、医学的にありえないので、虚偽広告となります。なお、虚偽広告は患者等に著しく事実に相違する情報を与え、適切な受診機会を喪失したり、不適切な医療を受ける恐れがあることから、医療法6条の5第3項により、罰則(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)をもって禁じられています。
他の医院と比較して優良である旨の広告(比較広告)
「日本一」「No,1」「最高」等の表現は、客観的な事実であっても使用できません。
誇張した広告(誇大広告)
必ずしも虚偽ではなくとも、施設の規模、人員配置、提供する医療の内容等について、事実を不当に誇張して表現していたり、人を誤認させる広告は使用できません。
公序良俗に反する内容の広告
わいせつもしくは残虐な写真・映像または差別を助長する表現等の広告は禁止です。
患者等の主観に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談
「○○医院の○○治療が効いた」「診療してもらったら直ぐ治った」など治療等の内容又は効果に関わる事項は記載は不可。
「受付の方が優しかった。」「入院食が美味しかった」など治療効果に関わらない事項は記載は可能。
患者等を誤認させるおそれがある治療等の前後の写真
治療前・治療後の画像は患者の状態により治療結果が異なり、誤った認識を植え付ける可能性があるため、記載は不可。ただし、限定解除事項を満たした場合は表示が可能。
品位を損ねる内容の広告
キャンペーン実施中、期間限定50%オフ、全員に○○をプレゼントなどは不可。
他法規制
薬機法、医薬品等適正広告基準、健増法、不正競争防止法等
限定解除
一定の条件を満たした場合に「限定解除」が可能です。ただし、限定解除をしたから何でも書いて良いというわけではありませんので注意が必要です。
限定解除で記載が可能な項目例
・専門外来(アンチエイジング外来、禁煙外来、糖尿病外来等)。
・治療等の前後の写真(元の画像を加工修正すること、術前術後で撮影条件を変える、ビフォーのみアフターのみの記載、無い機器でビフォアフターするなどは不可)。
・死亡率、術後生存率、治癒率、治療効果等(ただし、合理的な根拠を示し、客観的に実証できるデータが必要)。
・雑誌や新聞で紹介された旨の記載。
・広告が認められている自由診療以外の全ての自由診療。
・未承認医薬品・機器(海外の医薬品やいわゆる健康食品等)による治療の内容(条件付きで記載が可能)。
・法令に根拠のない診療科目(審美歯科、インプラント科、女性科等)。
・医薬品・医療機器の販売名(商品名)、型式番号(医療行為としての使用または処方に限る)。等
限定解除をするための条件
①患者さんが自ら求めて入手する情報である
②問い合わせ先等を明記し、容易に照会ができるようにする
③自由診療の場合は、同ページ内に下記を見える大きさで記載する
1治療名称
2通常必要とされる治療内容
3公的医療保険が適用されない旨
4標準的な費用
5治療期間及び回数
6この治療による主なリスクや副作用
7適切かつ十分な情報を提供する
限定解除で未承認薬・機器を記載する場合の条件
「限定解除をするための条件」と下記の条件を満たしている必要があります。
①未承認薬・機器による治療である旨、あるいは国内承認薬・機器の適応外使用である旨
②入手経路の明示
③国内の承認薬・機器の有無
④諸外国による安全性情報