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2012年10月25日

厚労省が「医療機関ホームページガイドライン」を新たに公表(5)

皆様こんにちは。
第5回「医療機関のホームページの内容の適切なあり方に関する指針(医療機関ホームページガイドライン)」のご紹介です。
この連載は今回が最終回になります。

ホームページに記載すべきでない事項
(5)科学的な根拠が乏しい情報に基づき、国民・患者の不安を過度にあおるなどして、医療機関への受診や特定の手術・処置等の実施を不当に誘導するもの

科学的根拠の乏しい情報で不安をあおり、受診を勧めることは厳に慎むべき行為であるとされています。
では、ガイドラインに記載された例示を見てみましょう。

A.特定の症状に関するリスクを強調することで、受診に誘導するもの
・「○○の症状のある二人に一人が○○のリスクがあります」
・「こんな症状が出ていれば命に関わりますので、今すぐ受診ください」

B.特定の手術・処置の有効性が高いことを強調することで、受診に誘導するもの
・「○○手術は効果が高く、おすすめです。」

C.特定の手術・処置のリスクが高いことを強調することで、その手術・処置以外のものへ誘導するもの
・「○○手術は効果が乏しく、リスクも高いので、新たに開発された○○手術をおすすめします」

このような例示だけ見ると、本来の制定意義を見失い適用範囲を広く見てしまいがちではありますが、
前提として「科学的な根拠の乏しい」情報源に基づいて記載された場合に限り本項は該当します。
ですので、Aの1つ目の例およびBの例においては、科学的根拠を併記することで記載が可能になる場合もあるかと思います。
情報源となった引用・参照先を併記することも有用であると思われます。

(6)公序良俗に反するもの
わいせつ・残虐な図画・映像、差別を助長する表現等の公序良俗に反する内容は、掲載すべきではない。

(7)医療法以外の法令で禁止されるもの
A.薬事法
B.健康増進法
C.不当景品類及び不当表示防止法
D.不正競争防止法

ここまでがホームページガイドラインの「ホームページに記載すべきでない事項」として、挙げられている事項です。(6)(7)は当然の事項なので特に言及しません。

続いて、自由診療を行う医療機関に限り、「ホームページに記載すべき事項」も併せて制定されたのでご紹介します。

(1)通常必要とされる治療内容、費用等に関する事項
治療等の名称や最低限の治療内容・費用だけを紹介することにより患者さんを誤認させ不当に誘引するべきではなく、
通常必要とされる治療内容、平均的な費用や治療期間・回数を掲載し、患者さんに対して適切かつ十分な情報を
分かりやすく提供すること。

(2)治療等のリスク、副作用等に関する事項
利点等のみを強調することにより、患者さんを誤認させ不当に誘引するべきではなく、
患者さん自身の適切な選択を支援する観点から、そのリスクや副作用などの情報に関しても分かりやすく掲載すること。

これらは医療機関のホームページのあり方として、必要最低限の当然のことであると考えます。
特に修正を必要とする医療機関も少ないのではないかと思いますので、付け加えることはありません。

以上、全5回にわたり公表されたホームページガイドラインの全項目をご紹介してきたわけでありますが、
総論と致しましては、解釈が分かれる項目もしばしば見られるため、今後まだまだ修正の可能性があるというところでしょうか。

一度ガイドラインが出来てしまうと、時が経つほどに段々と厳しくなっていくパターンが多いと思われます。今後も当局の動きに注意しつつ、「本当に患者さんのためになる情報であるか?」という原理原則を日々振り返りながら、情報提供を行っていくことが重要であると考えます。

  1. 厚労省が「医療機関ホームページガイドライン」を新たに公表(1)
  2. 厚労省が「医療機関ホームページガイドライン」を新たに公表(2)
  3. 厚労省が「医療機関ホームページガイドライン」を新たに公表(3)
  4. 厚労省が「医療機関ホームページガイドライン」を新たに公表(4)
  5. 厚労省が「医療機関ホームページガイドライン」を新たに公表(5)
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