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2017年12月2日

医療広告ガイドラインの改正案3 ついに新医療広告ガイドライン案が公開

11月29日に厚労省内にて、第7回「第7回医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」が開催されました。

今回の検討会で、なんと新しい医療広告ガイドラインの案が公表になりました。

厚労省公式サイト
新ガイドライン(案)について

新しいガイドラインは、これまでの医療広告ガイドライン(広告GL)と医療機関ホームページガイドライン(HPGL)が合わさった内容になっており、今回のガイドラインが施行になった暁には、これまでの広告GLとHPGLは廃止になるとのことです。

既に公布された医療法の改正により、施行後は医療機関のホームページが全て広告扱いになり、医療広告規制を守らなくはならないことが決まっています。その中で今回発表された新医療広告ガイドラインがどうなるかは、今後の医療の行く末を決める大きな道標になるはずです。

さて、それでは発表された新医療広告ガイドラインを紹介していきます。
新医療広告ガイドラインの最も重要な変更点は、ビフォーアフターと体験談の取り扱いです。

 

ビフォーアフターが大逆転解禁!

再スタート後、ここ2回の検討会では患者さんの誤認を招く可能性が高いとして、どちらも全面禁止する方向で議論が進んでいたように思われましたが、この最終局面にきて、まさかの大どんでん返しが起こり、ビフォーアフターが実質認められることになりました。

これまで医療広告ガイドラインでは、患者さんそれぞれで治療効果が異なる手術の写真については、術前術後の写真を並べることはもちろん、術前のみ、術後のみの写真を掲載するのも禁止されていました。
このような写真を見て、自分もそうなると信じ、過剰な期待をもって手術を行い、結果見本の写真のようにならなかったじゃないか!といってトラブルが起こるケースが多発していたためです。

今まではホームページが広告の対象ではなかったため、ビフォーアフターを掲載しても罰則の対象にはなりませんでしたが、先日の医療法改正でホームページも全て広告扱いとなったため、上記のルールがホームページにも適応になり、ビフォーアフターとそれに付随する治療の効果を説明した写真が全て掲載不可になるという事態に直面することになります。
この影響はとてつもなく大きく、特に美容整形、歯科領域の医療機関では、今後どうやって患者さんに説明すればいいのか?と頭を悩ませることになっていたわけです。

検討会において、ビフォーアフターは患者さんの情報入手の要であり、術後の状態をイメージするために必要であるというメリットが、誤認の恐れがあるというデメリットを上回ると考えられたようです。

ただし、文面としては「治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前後の写真等の広告をしてはならないこと」という否定の形を取った上で、単に写真を並べただけのビフォーアフターは禁止され、その周辺に具体的な治療内容・副作用・リスクなどの詳細な説明を記載する場合に限り、ビフォーアフターが認められることになりました。

 

厚労省 省令(案)についてから引用
ビフォーアフター禁止令

 

 

これまでの医療広告ガイドラインや検討会では、ビフォーアフターが認めれる空気は全くなかったように思われたので、ここにきてビフォーアフターが解禁になるとは全く予想だにしておらず、私は正直かなり驚きました。初めに聞いたときは信じられず、今回の検討会資料を全部読むまでは、「いやいや何か他に条件があるんじゃないの?」と訝しんでおりましたが、どうやら解禁で間違いなさそうです。
(とはいえ、まだガイドラインも案の状態なので、今後変わる可能性もないとは言えません。)

そしてもう一点付け加えておきますと、全ての広告でビフォーアフターが解禁になったわけではなく、広告チラシや看板のような従来から医療広告規制の対象であった媒体では、変わらず認められていません。
ここが今回の新医療広告ガイドラインで少しややこしいところで、広告が可能な事項が決められていた従来の医療広告規制のルールを変更し、ある条件を満たすことにより、広告可能な範囲の限定を解除できるという新しいルールが作られました。ここは少々ややこしいので、また別の機会で改めてお話したいと思います。

 

体験談は全面禁止

ビフォーアフターが解禁になった一方で、体験談の方は全面禁止となりました。

医療法ではありませんが、省令でがっちり禁止と明記されましたので、施行日までにホームページから体験談は全部削除しなければなりません。
これまで広告においても禁止となっていなかった、治療効果に係る体験談だけでなく、「医院が駅から近くて便利」といった広告が可能な記述内容であっても、認められないとのことです。

さらに、消費者に広告と気付かれないように行われるステルスマーケティング等についても、広告として扱われることが明記されましたので、患者さんの記述を公に公表する手法は今後諦めた方がよいでしょう。

 

施行のスケジュールも発表

そして、今回発表された新医療広告ガイドラインと6月に公布された医療法の施行日も同時に発表されました。

2017年12月~2018年1月 パブリックコメントの募集
一連の新医療広告規制について、国民から広く質問を受け付けるパブリックコメントの期間が、これから始まる予定です。
私もガイドラインを確認し、何点か疑問に思う箇所がありましたので、投稿するつもりです。

2018年1月 省令、医療広告ガイドラインが確定 公表

同6月1日 法律、省令、ガイドラインが施行
来年6月1日に施行されることが決定致しました。この日までに全ての医療機関は、医療広告ガイドラインに対応したホームページにしなければなりません。

 

というわけで、今回はまず一番の焦点であったビフォーアフターと体験談について紹介しました。
ビフォーアフターが解禁となったことで、今回の改正はどちらかというと、緩和の向きが強くなったと感じますが、これは以前から医療広告規制を遵守してホームページを作っていた医療機関だから言えることであり、そういった規制対策を全く行ってこなかった医院にとっては、従来からあるガイドラインの禁止事項にも一つずつ対処していかなければならないため、やはり影響力は大きいと思われます。

そして、ついに施行日が6月1日であることが明らかになりました。
これからパブリックコメントを経て、多少の変更がかかるかもしれませんが、ほぼほぼ大筋はこれで確定したと言えるでしょう。
検討会においても、もう今回の会を最後にしましょう的な空気が流れていたようです。

6月にしっかりと医療広告規制を遵守したホームページにリニューアルするために、年明けから対策を始めましょう。
ご相談を承っております。

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